応援隊訪問記
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第2回 『師授の魂 その弐』 常西周徳氏

去る6月1日より、宇部商工会議所に新専務理事が着任した。
専務理事の名は「常西周徳」。渡邉前専務理事を「剛」と例えるならば、常西専務理事は「柔」という印象で例えられるだろう。宇部地域資源活用促進協議会では、個のアイテムを限られたメンバーというスタンスではなく、 宇部における地域資源を宇部のまち全てを巻き込んでバックアップしたいと考えている。その中で、求められるは「柔の心」。
同協議会の奥谷会長は、「柔」の魂を持つ常西専務理事を仰いだ…


経済活動が活発な街には、
元気な「祭り」があるように思えます。


宇部商工会議所 宇部地域資源活用促進協議会
会長兼インキュベーション・マネージャー

奥谷祐司氏


商工会議所の事業に取り組む姿勢は、
祭りのそれと同じでありたい。


宇部商工会議所 専務理事
常西周徳氏

常西専務理事(以下敬称略)    まだまだ大それた目標は持っていないが、商工会議所という団体は、中小企業の事業を支援し活性化させていかなければならない。都市部では景気回復を感じさせる動きがある一方で、地方ではその兆しが見えないという地域間格差が存在する。当所でも退会される会員事業所様がいらっしゃるという現実を踏まえて打開策を見出していかなければならない。宇部市は工業都市としてこれまで発展してきたが、現在商業者の方々が置かれている厳しい状況をまず打開する道を商工会議所として探らなければならない。そして是非当所を利用して頂きたい。 商工会議所は地域企業にとって病院でありドクターであると考える。商工会議所を利用することによって、その企業の現状にあった処方箋を出し、これを基にして事業の活性化を図って頂きたい。現在健康な企業にとってドクターは必要ないかもしれないが、今必要なくとも当所にお立ち寄り頂き、スタッフ等との人的ネットワークを構築してほしい。その中で、会員企業様の情報をよく知ることにより、相談事があった時に迅速かつ的確な対応ができると思う。お互いを良く知らないことに起因する行き違いは実際によくあることで、これを解消できるだけでもこれまでとは違った商工会議所の価値を見出していただけるのではないか。

奥谷会長(以下敬称略)   現在、協議会事業を進めていく中で、他の組織との連携の必要性を感じてきています。

常西   宇部市のブランド戦略プロジェクトの取り組みがそうだが、商工会議所と共通するテーマに関しては、組織の枠を越えて宇部の街が良くなるように知恵を出していきたい。目的を同じくして違う道を行くことは、様々なロスを生む大きな原因となる。 これを無くしてお互いがwin-winの関係で街の活性化ができるように、セクト意識を捨てて取り組んでいくことが大切であろう。

奥谷   それぞれの組織で、街が良くなるために垣根を越えて取り組んでいこうという姿勢があり、これはこの街にとって雰囲気が良くなっている証でしょうね。

常西   市内の企業さんの殆どが厳しい時期を経験されていらっしゃるので、これからはドンドン上を目指して頑張ってもらいたいと願っている。その一方で、地域間格差等の問題が、前向きな取り組みの足を引っ張られなければ良いのだがと気になっている。

奥谷   地域間格差だけではなく、業種間格差も大きな問題としては挙げられますよね。

常西   これまでの日本経済は経済の二重構造という特質があり、業種間格差も当然ある。このような認識を踏まえた上で商工会議所や行政等の企業支援組織は、メニューを適切に且つタイムリーに動員し、企業活性化に役立たなければならない。業種間格差のある中で少しずつ景気回復の兆しが見える業種もあるが、経済合理性が優先され地域産品の消費が減るものもあり、地元中小企業の中には厳しい戦いを強いられているところもある。歴戦の勇士の皆さんの中にはご高齢の方もおられ、これからはこの方々の想いを受け継ぐ若手に頑張ってほしい。

奥谷   宇部商工会議所として現段階の最優先課題は何でしょうか??

常西   会員企業の事業活性化。我が国全体としては大手企業を中心に景気が良くなってきており、これらの波及効果を地域中小企業レベルまで上手に導くことが大きな課題であろう。

奥谷   経済活動が活発な街には、元気な「祭り」があるように思えますが…

常西   それは非常に大切なことかもしれない。直接的に経済活動が活発になることもさることながら、街の人全員の気持ちが一つとなることが何よりも大切ではないか。それを考えると昔は日本中に元気な祭りがあった。昔の祭りは「賑わい」を楽しみにしていたが、今はそれに加えて「催し物」に参加して楽しみを作り出すようなスタイルに変わってきている。これまでは祭りへお義理の参加が目立っていたが、最近は積極的に参加する方も増えている感じがする。

奥谷   ある地域では、祭りに積極的に参画することで、「祭装束」という一つの業を成り立たせている事業者があると聞いたことがありますが、これも祭りによる経済活動活性化の一つでしょうね。

常西   それも「祭り」がもたらす大きな恩恵であろう。「祭りが来る」の待ちの姿勢ではなく、自ら積極的に祭りに参画しようという想いが強くなったお陰であろう。この想いは「祭り」というものに携わる一つの組織として、商工会議所も見習うべきところである。商工会議所の事業に取り組み姿勢は、祭りのそれと同じでありたい。事業の財源は自らが稼ぐくらいの気概が必要かもしれない。更に当所スタッフがコスト意識を持って財政運営を行うことにより、健全な財務状態を維持することが肝要である。会員企業の皆様にお知恵を借りながら、現在の限られた予算の中で充実した会員サービスを提供できるように努めていきたい。

奥谷   積極的といえば、商工会議所を多方面からサポートしていただいている委員等の皆様方は、非常にバイタリティー溢れる方達ばかりですね。

常西   皆さんには色々とご尽力いただき、また事務局の尻を叩くぐらいの勢いがある方達ばかり。今後の商工会議所事業推進の大きな力となっていただけるのではないかと期待しております。

奥谷   私自身、商工会議所委員を仰せつかっておりますが、委員の皆さんの仲が良い。「funny」ではなく「interesting」の意味でのおもしろさがあり、このメンバーであれば何をやっても上手く物事を進めていけそうに感じます。この絆というのが「求心力」であり、これを中心に委員を超えて、商工会議所という組織を超えて、色々な方と良好な関係を築ける「遠心力」として活動をしていきたいですね。

常西   今後とも行政機関を始めとした他の組織との関係も密にして事業を進めていきたい。座っているだけでは情報は集まらないから、自ら出向いて様々な情報を得てこないといけないと思う。これを進めるには、リーダーから率先して行かなければ難しいだろう。

奥谷   会員さんも同じで、何かを得ようと楽しく会議所活動に参加している人が多くなればなるほど、会員数も増えていくものだと思います。

常西   奥谷会長のその想いは是非皆さんに伝わってほしい。商工会議所に特段用事がなくても気軽にお立ち寄りいただきたいのだが、皆さんそれぞれの事業でご多忙でしょうからそれも難しいだろう。だからこそ会員担当制が必要であり、商工会議所の方から出向いて行き、皆様との信頼関係を築くことを心掛けたい。

宇部商工会議所は、会員の皆様並びに他の組織との信頼や連携の絆を更に深めるために、新たな歩みを始めた。しなやかで弾力性のある商工会議所を目指して変わろうとしている。

2007/7